北朝鮮の教育用タブレットPC(左)。箱には「アッチム(朝) 教育用板型コンピューター」との表記がある=李聖鎮撮影
北朝鮮の教育用タブレットPCを朝日新聞が入手した。義務教育の現場で実際に使われているものだ。収録されている教科書からは、歴代の最高指導者への忠誠心と、米国に対する敵対心を子どもたちが持つように仕向ける教育政策が浮かび上がる。かつて北朝鮮で教師をしていた脱北者の金承順(キムスンスン)さん(45)=仮名=と共に読み解いた。(ソウル=牧野愛博)
北朝鮮が直面する二律背反
金父子の名前、無条件で太字変換
タブレットPCには、北朝鮮が「白頭山3大将軍」と呼ぶ故・金日成(キムイルソン)国家主席、その妻の故・金正淑(キムジョンスク)氏、夫妻の息子の故・金正日(キムジョンイル)総書記の生涯を記録した3冊の「革命歴史」が教科書として収録されている。
金日成、金正日父子の業績を教え、称賛するのが目的で、「偉大な首領金日成大元帥様の賢明な領導」「敬愛する金正日同志」といった言葉が躍る。
PCに文字を入力する場合、金父子の名前は無条件で太字で変換されるようにプログラムされている。
北朝鮮北部・両江道恵山(リャンガンドヘサン)市の高等中学校で2005~10年に教えた後、13年11月に脱北した金承順さんは「忠誠心は最も基本的な条件。素行不良の子どもはいるが、最高指導者を批判する子はいない」と断言する。
金承順さんが勤務した高等中学…