羽田空港で利用者の案内をするロボット「EMIEW3(エミュースリー)」
2020年東京五輪・パラリンピックでのロボット活用についての議論が今年、本格化する。観光案内や警備での導入のほか、競技の審判に人工知能(AI)を採り入れる動きも出ている。大会関係者からは「五輪をロボットのショーケースにしたい」との声も上がる。
昨年12月、大会組織委員会、東京都、国、民間企業の実務担当者による初会合が開かれ、今後の議論の進め方について協議した。組織委は20年大会について「史上最もイノベーティブ(革新的)な大会にする」というビジョンを掲げている。
都は20年に向け、昨年11月から今年2月下旬まで、英語や中国語など多言語で観光案内するロボットを都庁舎や展望室に置き、実証実験を実施。学習能力を持つAIが搭載されており、実用性や課題を探る。都立産業技術研究センターも、観光や介護の分野などでロボット実用化を目指す中小企業を支援する制度を始めた。
空の玄関口・羽田空港では、翻訳機能を持つ案内ロボットやセンサーで不審者を見つける警備ロボットなどの実験が始まっている。運転席にドライバーが乗らずに走る自動運転車の実証実験も各地で進む。経済産業省などは20年にロボット技術の国際大会「ワールドロボットサミット」を愛知県などで開催する予定だ。
また国際体操連盟は、20年大会のスポンサーである富士通と「人工知能審判」の共同開発に乗り出した。レーザーで選手の動きを立体的に解析し、難易度などを覚え込ませたAIでひねり具合などを判定することを想定しており、本番での採用を目指している。
組織委や都などは今後、各地の取り組みを生かしながら、競技会場や空港、駅での「おもてなし」などに活用できるかどうか、検討していく。(前田大輔、野村周平)