イコモスの新会長に選出された河野俊行さん=上田幸一撮影
日本人で初めて国際記念物遺跡会議(イコモス)の会長に就任した九州大大学院の河野俊行教授(59)。世界文化遺産候補を調べ、登録可否の勧告を出す考古学者らの専門家集団にあって、異色の法律家としてトップにたった。「想像だにしなかった」というキャリアを歩むが、世界各地の文化財を後世に残す仕事に、情熱を燃やす。
――大阪市出身。
東成区の今里出身で、府立高津高から京都大法学部に進みました。高校時代から趣味は寺社巡りでした。若い頃から、じじくさい趣味でした(笑)。
――法律と文化財、一般的には関係性が薄いようにも思えます。
元々の専門は国際私法。文化財関係の仕事を始めたのは、九州大に就職後のドイツ留学がきっかけです。1986年か87年、現地のハイデルベルク大が主催する文化財の違法取引問題についてのシンポジウムに呼ばれ、「文化財と法律って、こういう接点があるんだ」と気づいたのです。
帰国後、文化財の違法取引をコ…