宮崎市で2015年10月、車が歩道を暴走し2人が死亡、4人が重軽傷を負った事故で、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた無職川内実次(みつぎ)被告(75)=鹿児島県日置市=の判決が19日、宮崎地裁であった。岡崎忠之裁判長は、被告がてんかん発作の影響で事故を起こしたとは言えないとして、過失運転致死傷罪を適用し懲役6年(求刑懲役7年)を言い渡した。
宮崎暴走6人死傷、19日判決 てんかんか認知症か争点
公判で検察側は、被告が抗てんかん薬を服用していたことなどから、事故原因は危険運転致死傷罪(懲役15年以下)の対象となる、てんかんの影響と主張。
弁護側は「診断はてんかんの疑いにとどまり、認知症で歩道を側道と誤認したと考えるのが自然」と主張。同罪対象外の「認知症」の影響として、過失運転致死傷罪(懲役7年以下)の適用を求めていた。
検察側は懲役10年を求刑したが、てんかんが原因として認められなかった場合に備え、過失運転致死傷罪も訴因に追加していた。
岡崎裁判長は「事故原因がてんかんによる発作という主張には合理的疑いがあり、危険運転致死傷罪の適用は認められない」と述べた。
判決によると、川内被告は15年10月28日、家族から車の運転を止められていたにもかかわらず軽乗用車で鹿児島の自宅を出発。午後2時50分ごろ、JR宮崎駅近くの歩道を約700メートルにわたって直進し、女性2人を死亡させ、男女4人に重軽傷を負わせた。(小出大貴)