カンボジアを訪れて倉田浩伸さん(左)のコショウづくりに密着した佐々木蔵之介(ABCテレビ提供)
俳優の佐々木蔵之介(50)が、カンボジアの農園でコショウづくりに情熱を傾ける日本人に密着取材した。ABCテレビのドキュメンタリー番組「LIFE 夢のカタチ」の放送を前に、カンボジアで感じたことを聞いた。
カンボジアのコショウは、かつて「世界一おいしい」と言われ生産も盛んだったが、1970年代からの内戦の影響で一時は廃れていた。番組では、約20年前から現地でコショウづくりに携わり、復活の立役者となった倉田浩伸(ひろのぶ)さん(48)の生き方を追う。
倉田さんが手がけるコショウ「クラタペッパー」の魅力に迫ろうと、佐々木は4日間にわたって農園やレストランなどに足を運んだ。中でも印象的だったのが、カンボジア南西部のコッコン州で見た畑だという。ブドウのように連なって実るコショウ。「生の実は黒じゃなくて緑色だった。驚きました」
もぎたてのまま食べてみると、「口の中でプチッと皮がやぶれる食感」が楽しめたという。「カンボジアのコショウは粒が大きい。無農薬で作るので手間がかかっているけど、すごくおいしかった」と話す。
フルーティーな味わいは料理人からも好評で、世界各地から引き合いがあるという。コショウを追い続ける倉田さんについて「自分の夢を追いかけるだけじゃなくて、カンボジアの産業を牽引(けんいん)して、雇用を生んでいるのがすごい」。番組ではさらに、倉田さんとカンボジアとの出合いや、数々の苦労を乗り越えてきたこれまでの歩みをたどる。
◇
佐々木がナレーションを担当する「LIFE」の放送は、この4月で9年目に突入した。登場した人たちについて「これだけ努力しているのに、さらに夢の続きを語るんです。こんな風に頑張っている人がいるんだなって、毎回、励まされる気がします」
これまで食や芸術など様々な分野で活躍する人たちを紹介してきた。どんな人生も、山あり谷あり。自身も大学に進学する際、家業の酒蔵を継ぐつもりで農学部に進んだ。しかし、学生時代に偶然出合った演劇に心を揺さぶられ、人生が大きく変わった。「この仕事を許してくれた家族とか周りの人たちに対して、俳優業で、ある程度のことはちゃんと示さないといけないなと思っています」
自分のことを「未完成」と表現する。「100点を取れたと思ったら、やることがなくなる。足りない足りないと思うから、続けています」
カンボジアロケの様子は、16日と23日の2回に分け、いずれも午前11時から放送される。(杢田光)