30日のニューヨーク株式市場は、金利上昇を背景とした世界的な株安の流れを受け、大企業でつくるダウ工業株平均が大幅に続落し、前日より362・59ドル(1・37%)安い2万6076・89ドルで取引を終えた。下落幅は一時、400ドルを超えた。2日間での下げ幅は約540ドルに達し、異例の上昇が続いてきた米株式相場が踊り場にさしかかった可能性もある。
ハイテク銘柄が多いナスダック市場の総合指数も続落し、前日比64・03ポイント(0・86%)低い7402・48で引けた。
好調な米経済指標やトランプ米政権による大型減税を受け、物価が上がっていくとの観測などから、米長期金利は2014年以来の水準となる約2・73%まで上昇(債券価格は下落)。米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐとの見方も浮上し、市場に警戒感が広がった。
産業別では、米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループなど、医療関連株が大きく値を下げた。米ネット通販最大手アマゾンが金融大手JPモルガン・チェース、投資会社バークシャー・ハサウェイと共同で米従業員向けの医療サービス会社を立ち上げると発表し、競争激化が見込まれるためだ。原油安でエネルギー株も下落した。
ダウ平均は年初から前週末までに約1800ドル上昇しており、過熱感も強まっていた。トランプ米大統領の一般教書演説を同日夜に、米主要IT企業の決算発表を週内に控え、利益をいったん確定するための売りも出やすかった。今回の株安は「健全な市場で起きた通常の動き」(米投資専門家のクーパー・アボット氏)との見方もある。(ニューヨーク=江渕崇)