開会式から一夜明け、会見する聖火の最終点火者の金姸児さん
平昌冬季五輪の開会式から一夜明けた10日、聖火の最終点火者を務めたフィギュアスケート女子で2010年バンクーバー五輪金メダルの金姸児(キムヨナ)さんが記者会見し、「現役時代は10年間スケートをしてきたが、あんな高いところで滑るのは初めて。人生最高の光栄です」と語った。
最終走者はキムヨナさん、南北選手から聖火受け点火
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大役の打診があったのは数カ月前。開会式では入場券が完売となった会場の3万5千人の視線を一身に集めた。「はじめはワクワクしていなかったけど、聖火をつけた瞬間、しびれた状態になり、よく分からなくなった。感動的な瞬間で五輪が始まったな、と思った。これだけ多くの観客の前でパフォーマンスをしたのは初めて。集中していたので観客は見えませんでした」
点火の直前、アイスホッケー女子の南北合同チームの2人から聖火を受け取るのは、リハーサルなしのぶっつけ本番だったという。数多くの国際大会を経験してきたスケーターにとっても、独特の緊張感に包まれたという。2人が息を合わせ、階段を上ってくるのを胸の高鳴りをおさえながら待った。「ミスして問題になったらどうしよう、と。(あの場で)初めて会ったけれど、お互いが目を合わせると、自然と笑みが浮かび、考えていることが分かったと思う」
聖火台下のスケートリンクで滑ったのは30秒ほど。それでも、背負っていたものは重い。「非現実的で、あっという間でしたが、意義のある瞬間でした」と振り返った。(笠井正基)