津波が逆流する八幡川=1960年5月24日、宮城県志津川町(現・南三陸町)、千葉澄夫さん提供
東日本大震災の約50年前、東北沿岸を襲った津波があった。1960年のチリ地震津波。当時の白黒写真を人工知能(AI)でカラー化すると、東日本大震災と似た光景が浮かび上がった。朝日新聞とKHB東日本放送(宮城県)は、首都大学東京の渡邉英徳准教授のチームとともに、当時の東北沿岸の姿を復元するプロジェクトを進め、証言をたどる。
津波が逆流する八幡川=1960年5月24日、宮城県志津川町(現・南三陸町)、千葉澄夫さん提供
写真は朝日新聞が保存していたものに加え、公的機関などから提供を受けた。AIによる自動色付けは、早稲田大の石川博教授らの研究グループが開発した技術などを応用して、渡邉准教授のチームが実施した。
宮城県気仙沼市南町の写真(気仙沼ライオンズクラブ提供)には、大通りに水があふれるようすが写っている。男性たちのひざまでの高さがあり、箱がプカプカと浮かんでいる。写真左の店の扉には、百貨店の「藤崎」とみられるマークもある。
津波直後の宮城県気仙沼市南町。左の店の扉には百貨店「藤崎」とみられるマークがある=1960年5月、気仙沼ライオンズクラブ提供
津波直後の宮城県気仙沼市南町。左の店の扉には百貨店「藤崎」とみられるマークがある=1960年5月、気仙沼ライオンズクラブ提供
川を津波が逆流する写真では、漁船が流されたり、橋に引っかかったりしている。本塩釜駅近くの写真(東北大学提供)では、漁船が道路上に打ち上げられていた。
本塩釜駅周辺に船が打ち上げられている=宮城県塩釜市、東北大学提供
本塩釜駅周辺に船が打ち上げられている=宮城県塩釜市、東北大学提供
青森県の八戸海上保安部も、当時の写真を撮影していた。2階から撮影された写真からは、敷地に流れ込む津波の様子がわかる。建物の下部が海に沈むのを人々が見ている場面もあり、引き潮で海底があらわになった港では、停泊中の漁船が横倒しになっていた。
岩手県大船渡市の写真(東北大…