全人代開幕式で、壇上に立つ習近平国家主席(左)と李克強首相(右)。中央は王岐山・前党中央規律検査委員会書記=5日午前8時59分、中国・北京、杉本康弘撮影
5日に中国・北京で開幕した全国人民代表大会(全人代)で李克強(リーコーチアン)首相が行った政府活動報告は、昨年秋の共産党大会で習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)が打ち出した「社会主義現代化強国」の実現に向け、改革を続けていく姿勢を強く打ち出した。
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午前9時、人民大会堂には約3千人の代表が集まり、大きな拍手で最初に入場した習氏を迎えた。習氏は厳しい表情のまま、舞台上の前列中央の席に座り、やや遅れて李氏ら党指導部のメンバーが続いた。
国家副主席に就任するとみられている王岐山(ワンチーシャン)氏も最高指導部の政治局常務委員の隣に座り、国営中央テレビの中継でも常務委員の次にアップで紹介された。
李氏は報告で習指導部の1期目を振り返り、「我が国の発展の道のりにおける出色の5年間」と評価。「習近平同志を核心とする党中央の力強い指導のたまものだ」と自賛し、経済成長率が年平均7・1%の伸びを記録したことや、貧困人口が6800万人余り減ったことを誇った。
その上で、今年の目標に言及。経済面では、引き続き実体経済に力点を置き、構造改革を推進すると主張。インターネットを農村にも全面的に普及させ、人工知能(AI)の活用を強化し、新エネルギー自動車や新素材産業などを発展させていく姿勢を示した。
都市部に比べ、発展が遅れている農村への対策にも重点を置いた。習指導部が力を入れる貧困対策の「進展と質を確保」するとし、「貧困脱却の成果が大衆から認められ、歴史の検証にたえうるようにする」と強調。環境対策では、ディーゼルトラックへの対策を進めるなどして二酸化硫黄と窒素酸化物の排出量を3%減らし、重点地区のPM2・5濃度を低下させる目標を設定した。(北京=平賀拓哉、延与光貞)