槙野智章
まきの・ともあき
1987年、広島市生まれ。中学生からJ1広島の下部組織に入り、2006年にトップ昇格。07年の20歳以下W杯に出場、「調子乗り世代」として注目を集めた。広島から11年1月にドイツ1部ケルンへ移籍したのち、12年からJ1浦和。日本代表には09年に初選出され、28試合3得点。身長182センチ、体重77キロ。今年2月、俳優の高梨臨さんと結婚。
屈強なワールドクラスの点取り屋を抑え込むことこそ、自分の役割であり日本の勝利への道。DF槙野智章(30)=浦和=は、そんな確信を胸に抱く。世界のトップレベルを体感した昨年11月の欧州遠征を糧に、ワールドカップ(W杯)ロシア大会を見据えている。
勇敢に戦った。ベルギー・サッカー史上屈指のFW、身長190センチのR・ルカク(マンチェスターU)を相手に。
昨年11月、世界ランク5位のベルギーとの親善試合。槙野はセンターバック(CB)で先発した。技術、高さ、強さを誇るルカクに球が入れば、反則せずに詰め寄った。空中戦では体をぶつけて自由を与えなかった。「ペナルティーエリアから遠ざける」と、ボールがない場面でも圧力をかけ続けた。後半21分にはゴール前でかわされた味方をカバーし、体を投げ出してシュートをブロック。「自分の良さをはっきり出せた」。やっと与えられたチャンスで示したプレーに、手応えを感じていた。
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速さに加え、日本人離れした肉体の強さ。攻撃のセンスもあり、広島時代の2009年はJ1で8得点も挙げた。その異才ぶりは、守備が本職の人らしくない華がある。
ただ、W杯の舞台には縁遠かった。10年南アフリカ大会、14年ブラジル大会の前は、代表に選出されても主にベンチ。いずれも本大会のメンバーから漏れた。
「代表監督にとって使いづらい選手だった」と振り返る。
自らの適性はCBと考えるが、…