クリーニングされる前の飛天図(16号壁)の一部=監修・法隆寺、朝日新聞社編「法隆寺金堂壁画」から
飛鳥時代に創建された奈良県斑鳩(いかるが)町の法隆寺金堂に描かれた壁画「飛天図」がクリーニングされ、1300年以上前の鮮やかさを取り戻しつつある。1949年の火災で焼損した金堂壁画の保存について検討する法隆寺金堂壁画保存活用委員会(委員長=有賀祥隆・東京芸術大客員教授)が10日法隆寺で開かれ、新たに撮影された高精細画像が初めて示された。
金堂壁画は49年1月に火災で焼損。堂内の小壁に描かれた20面の飛天図は火災前に取り外されていたため、被災を免れていた。その後は木枠に入れられ、境内の収蔵庫などで保管されてきたが、表面にほこりが積もっていた。
活用委が昨年7月、専門技術者によるクリーニングを実施。ほこりを筆で取り除き、描線や彩色がはっきりしてきた。大野玄妙管長は「以前からくすんでいたが、すっきりした」。活用委の美術史班座長を務める梶谷亮治・奈良国立博物館名誉館員(美術史)は「宝石が磨かれるようにきれいになった。常にメンテナンスが必要と感じた」と話した。
法隆寺は2015年、文化庁と朝日新聞社の協力で活用委を立ち上げ、焼損壁画の総合調査をスタート。19年をめどに中間報告をまとめる予定。(編集委員・小滝ちひろ、渡義人)