大学生の読書を後押しするための空間「みちのきち」=東京都渋谷区の国学院大
大学生の読書離れに歯止めがかからない。国公私立大の約1万人を対象にした昨秋の調査では、1日の読書時間が「ゼロ」の学生が過半数を占めた。大学生に本に関心を持ってもらうには、どうすればいいのか。図書館にちょっとした仕掛けを作った大学もある。
「頭に気をつけて下さい」
腰をかがめて中に入ると、天井からぶら下がるように設置された本棚で四方を囲まれた。床から140センチほどの高さまでが開口部で、そこから自由に出入りができる。中央の柱を囲むベンチやクッションは緑色で統一され、落ち着いた空間になっている。
昨年4月、国学院大(東京都渋谷区)が図書館がある建物内に設けた「みちのきち」は、ずっと座っていたくなるような居心地のいいスペースだ。四方の本棚には、学生に希望を尋ねて購入した本や写真集など約800冊が並べられている。ベンチに座ると、本棚が目隠しになり、外を歩く人とも視線が合わない。
文学部日本文学科4年の永井伶奈さん(21)が、「世界のホットドリンクレシピ」という本を読んでいた。「最近料理を始めて、レシピ本を手に取ることが増えた」という。以前は、空いた時間にはスマホをいじるだけのことも多かった。「落ち着ける空間ができて過ごしやすくなった。ここで友達と待ち合わせたり、授業の空き時間に来たりしています」
「みちのきち」は、学生に本を…