九回表、左前安打を放つ浜松君=26日午前、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、奥田泰也撮影
(26日、選抜高校野球 創成館3―1下関国際)
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先取点を奪われても動じなかった。一回、創成館の打者3人から1死もとれず、下関国際の内野手はマウンドに集まった。「安打が出てもいい。まだ序盤だから取り返せる」。主将の浜松晴天(そら)君(3年)は、落ち着いて声をかけた。
昨夏の甲子園。敗れた三本松(香川)戦に二塁手として先発したが、劣勢のなか、併殺を狙った送球を捕れず、追加点を許した。「併殺にとれれば、試合展開が変わったかもしれない」。責任を感じ、「チームを甲子園に戻す」と、自ら主将に手を挙げた。
「周りがみんな自分のことしか考えていない」。最初は思うようにはいかなかった。昨秋の中国大会決勝は、一時9点差をつけたおかやま山陽に逆転負け。流れを変える役割も果たせなかった。坂原秀尚監督は「選手がチームのためにプレーしている『つもり』になっていた」。
1人責任を抱え込み、「しんどい」と感じることもあった。だが、冬の間、部員全員が目標タイムをクリアしないと終わらない800メートル走などで心身を追い込むなか、「自分の限界」を感じて開き直った。遊撃手の甲山達也君(3年)らを頼るようになり、チームに一体感が生まれた。
創成館戦は、チームの持ち味の粘りを発揮したが、浜松君が同点を狙って本塁でアウトになるなど、初勝利はならなかった。「主将としてまだ力不足。夏に向けて1点や1球にこだわっていきたい」と前を向いた。(藤野隆晃)