阪神甲子園球場近くのグラウンドでの練習で輪になって話す延岡学園の椿原塁君(左)ら門川中出身の野球部員=兵庫県伊丹市、松本真弥撮影
宮崎県から52年ぶりに選抜へ2校出場を果たした延岡学園(春は12年ぶり3回目)と富島(同初出場)。県北部に位置する両校の主力は幼い頃からのライバル同士。競い合い、ともに夢の舞台にたどり着いた。
動画もニュースも「バーチャル高校野球」
選抜の日程・結果はこちら
27日の第2試合に初戦を迎えた延岡学園の主将、椿原(つばきはら)塁(るい)君(3年)やエースの上野元基(もとき)君(同)らベンチの6人は中学時代に軟式野球の全国大会で優勝した門川(かどがわ)中(宮崎県門川町)の出身。15歳以下の日本代表にも選ばれた椿原君は県外の強豪高校からも声を掛けられたが、「このメンバーで甲子園へ」と仲間と誓い、そろって進学。今のチームができ上がった。
「負けた記憶はほぼない」(椿原君)という中学時代だが、そんな彼らを最も苦しめるチームが同じ日向(ひゅうが)地区にあった。富島のエース黒木(くろぎ)将胤(しょういん)君(同)ら3選手がいた財光寺中(同県日向市)だ。
2015年夏の中学体育大会。全国につながる日向地区の大会で門川と延長戦まで戦ったのが財光寺だった。「全国大会と比べても一番苦しかった試合」と延岡学園の黒木(くろぎ)康平君(同)。椿原君の父孝二さん(44)も「全国制覇もしているのに、息子は思い出の試合は財光寺戦と答えるんです」と笑う。
ただ、少年野球の時代にさかのぼると、黒木将胤君が所属したチームの方が勝ち越していたという。
高校の新チームの戦績は1勝1敗。昨秋の宮崎県大会決勝は延岡学園が1点差で勝利したが、九州大会は富島が準優勝し、4強の延岡学園を上回った。中学時代は門川の壁に跳ね返されていた富島の窪田晃誠(こうせい)君(同)は「最近は少し肩を並べられた感じがする」とにんまりだ。
2校が対戦するなら決勝になる。大会第7日に初戦がある富島の黒木将胤君は「いろんなチームと対戦したいが、決勝で延岡学園と戦えたらいいな」。(松本真弥)