NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」の機体を点検する研究者ら=28日、米メリーランド州のゴダード宇宙飛行センター、香取啓介撮影
太陽に肉薄して観測する無人探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」の機体が28日、米東部メリーランド州の米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターで報道陣に公開された。太陽の大気「コロナ」や、太陽風のメカニズムを解き明かすことで、人工衛星や宇宙飛行士の活動に影響する危険な宇宙天気の理解にもつながる。
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パーカー・ソーラー・プローブは、7月末に打ち上げ予定で、金星の重力を使って軌道を変え、周回しながら太陽に近づき、太陽表面の約600万キロまで迫る。これまで太陽に最も接近したのは探査機ヘリオス2号の約4300万キロ。探査機の前面は1400度の高温にさらされるが、厚さ11・43センチの炭素素材の耐熱シールドで内部は室温程度に保たれるという。
太陽の表面温度は6千度程度なのに、コロナが100万度以上になる理由は不明だ。また、噴き出したプラズマによる太陽風がなぜ秒速数百キロに加速されるのかも謎だ。
プロジェクト科学者のニッキー・フォックスさんは「NASA設立時に提案されたが、技術が追いつくのに60年待たされた。パズルの最後のピースを埋めるきわめて重要なミッションだ」。チームに参加するジョンズ・ホプキンス大の高橋主衛(かずえ)研究員は「太陽に最も接近できる探査機。かなり挑戦的だが、成功すればノーベル賞級だ」と話す。
NASAは希望者の名前を探査機に積むチップに刻んで太陽に送る。4月27日までサイト(
http://parkersolarprobe.jhuapl.edu/The-Mission/Name-to-Sun/
)で募集している。(グリーンベルト〈メリーランド州〉=香取啓介)