スバルの「フォレスター」=米ニューヨーク、江渕崇撮影
北米を代表する自動車見本市の一つ、ニューヨーク国際自動車ショーが28日開幕した。新車発表も会場での展示も、スポーツ用多目的車(SUV)が席巻した。米新車市場が頭打ちとなり、乗用車からSUVへと消費者の好みが変わるなか、流れに乗り遅れまいと、どのメーカーも必死だ。
トヨタ自動車がこの日発表した小型SUV「RAV4」の5代目モデルは、車体の横幅を広げて力強さを強調。燃費や動力性能も向上させた。2016年にRAV4の取り扱いをやめていた日本でも、19年春ごろに再び売り出す予定だ。
RAV4は昨年、米国で40万台を売った。5年前の2倍に伸び、米国で最も売れたトヨタ車となった。北米トヨタのジャック・ホリス副社長は「若者が小型SUVを選ぶようになり、家族を持ってもSUVが使いやすい。いずれ販売の7割はSUVなどになるだろう」と報道陣に語った。
かつてSUVは、オフロード走行を重視する愛好家のための車だった。1994年にRAV4が登場して以降、乗り心地やデザインが洗練され、燃費も乗用車との差が縮まった。
「乗用車より使い勝手が良く、選択肢も小型から大型まで幅広い」(米自動車コンサルタントのケネス・エリアス氏)こともあり、SUV人気は加速する一方だ。17年はセダンなど乗用車の販売が前年より11%も減ったのに、SUVを含む小型トラックは4%増え、市場の6割超を占めた。
各社はこぞって品ぞろえの拡充に走る。ブームの波に乗って米国でこの10年間販売を伸ばし続けてきたスバルは、主力SUVの「フォレスター」を全面改良。高級車ブランドもホンダの「アキュラ」や米フォード・モーターの「リンカーン」が新SUVを披露した。
小型車のイメージが強かった独フォルクスワーゲンは「さらなる成長には、米国市場の心臓部にリーチする必要がある」(幹部)としてSUV「アトラス」などの新モデルを発表した。韓国メーカーは乗用車の比率が高く、最近は苦戦してきた。現代自動車がこの日紹介した3車種は、いずれもSUVだった。20年までにSUV8車種をそろえて追い上げる。
ショーは28、29両日に報道公開され、一般公開は30日~4月8日。(ニューヨーク=江渕崇)