40年前に占拠された旧管制室。今はランプコントロール中央運用室として使われている=20日、千葉県成田市の成田空港
成田空港(千葉県成田市など)の開港を4日後に控えた1978年3月26日、開港に反対する活動家たちが管制塔(高さ約64メートル)に侵入して機器を破壊する「管制塔占拠事件」が起き、開港は2カ月遅れた。あれから40年。成田国際空港会社(NAA)は「成田闘争の象徴」と言えるこの建物を、2020年にも取り壊すことを決めた。
成田空港をめぐっては、建設が閣議決定された66年以降、地元農家らの反対運動が活動家を巻き込んで激化。警察官3人が死亡した東峰十字路事件など「成田闘争」が繰り広げられた。
78年3月、航空機への離着陸の指示などを担う管制塔の最上階の16階の管制室に活動家らが侵入。鉄パイプなどで機器を壊し、書類を窓から投げ捨てた。数時間後に逮捕されたが、開港は5月20日まで延期された。
93年2月に高さ約87メートルの新管制塔が北側に建てられた。事件が起きた建物は旧管制塔となり、地上の航空機の誘導などを担うランプコントロールタワーとして使われてきた。しかし、近年は老朽化が進み、雨漏りなど傷みが目立つ。NAAは2020年の運用開始を目指し、今年4月、南側に高さ約60メートルの新ランプコントロールタワーを着工する。運用開始後、旧管制塔を撤去する予定だ。
成田空港は現在、海外115都市、国内18都市を結ぶ。17年の航空機の発着回数は25万1千回、旅客数は計4068万人で、ともに過去最多を更新。今月13日には、3本目の滑走路の新設や、開港以来初めてとなる運用時間の延長に地元自治体などが合意した。新しいタワーについて、NAAは「機器も更新し、発着便の増加にも対応できる」としている。
■元活動家「謝り…