6月14日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、日本代表がベースキャンプ地とするカザンの施設が3月末、日本の報道陣に公開された。ロシア1部ルビンの施設を借り受け、ケアやトレーニング設備は充実。地元も協力ムードが漂い、チームにとっては申し分ない環境といえる。
選手の助けになりそうなのが、「ハマム」と呼ばれるトルコ式サウナ。宿泊棟1階に、日本で一般的な北欧式サウナと隣接して設置されている。スチーム式のハマムは比較的低温ながら発汗作用が得られ、高温が苦手な選手も気軽に利用できる。すぐ隣にはプール、ジェットバスや浴槽が置かれた部屋もあり、交代浴などで移動や激闘の疲れを癒やせそうだ。
宿泊棟は4階建てで、3~4階が個室。1階には医務室、マッサージ室などのほか、食堂とキッチンが併設されている。地下にジム、ランドリー、4階にはミーティングルームがあって、ピッチ外の生活はすべてこの中で完結する。選手が集うリラックススペースも、クラブのトロフィーなどが飾られる2階の空間に設けられる予定だ。
練習で使う天然芝ピッチには、宿泊棟から徒歩5分もかからずに出られる。空港から施設までは車で30分以内。6月の気温は例年、昼25度、夜15度ほど。12月のW杯組み合わせ抽選後に視察したハリルホジッチ監督も、納得して大会中の拠点にすると決めた。
天然芝3面と人工芝5面のピッチに、宿泊棟、ユース宿泊棟もある約11ヘクタールの施設は2004年に完成し、16年に改修。ルビンのサヤホフ社長は「最高レベルで(受け入れの)準備をする。ロシア1部で戦うクラブとして、チームのリクエストは理解できる。日本のリクエストには応えるようにしたい」と頼もしい。
警備も厳しく、基本的には一般非公開。集中できる環境で、日本はW杯の準備を進められそうだ。(藤木健)