金融庁は複数の仮想通貨交換業者に対し、近く一斉に行政処分を出す方針を固めた。業務改善命令などを検討している。複数業者への一斉処分は、3月8日に7業者に業務停止命令や業務改善命令を出して以来2度目。コインチェックの不正流出問題以降、順次業者に立ち入り検査を行ったところ、ずさんな経営が発覚したため厳しく対応する。
今回の一斉処分は、前回の処分後も検査を行っていた、金融庁への登録前の「みなし業者」への処分となる見通し。
みなし業者は昨春の改正資金決済法の施行前から業務を行っており、金融庁の登録審査中でも営業できる。しかし金融庁は「資金を守るガバナンスが効いた業者かどうかを最も重視する。水準を満たせないならやめてもらう」(幹部)とし、今回の処分を通じて、一部業者には業界からの退出を迫る姿勢だ。
仮想通貨交換業者は、金融庁への登録業者が16社、登録前のみなし業者が16社で計32社ある。1月にコインチェックから仮想通貨NEM(ネム)が約580億円分も不正流出し、金融庁は同社に業務改善命令を出し、他の業者にも経営体制について報告を求めた。
他の業者でも問題が懸念されたため、金融庁は複数の登録業者とすべてのみなし業者に立ち入り検査を行い、顧客資産の安全管理態勢を調べた。3月8日、みなし業者2社に1カ月の業務停止命令と業務改善命令を出し、登録業者2社とみなし業者3社に業務改善命令を出した。(山口博敬)