完投した大阪桐蔭の根尾=池田良撮影
(4日、選抜高校野球・決勝 大阪桐蔭5―2智弁和歌山)
動画もニュースも「バーチャル高校野球」
選抜の日程・結果はこちら
試合結果の詳細はこちら
支え合う仲間がいる。大阪桐蔭の根尾は、それがうれしかった。
「初回から飛ばした」という連投のマウンド。しかし、四回のピンチで踏ん張りきれない。2死二、三塁から先制2点適時打を浴びた。「失投。ストライクを取りにいってしまった」
だが、直後の攻撃で自らも安打を放って好機を作り、追いつく。「すぐにとってくれたので助かりました」。気持ちを立て直すことができた。
岐阜県で育った中学時代はスキーの全国大会で優勝し、勉学も優秀。進路が注目された最速148キロ右腕が、大阪桐蔭で高いレベルの野球を学ぶ道を選んだ理由の一つに、「仲間」の存在がある。
「スキーは自分のミス=負け。でも、野球はミスをしてもカバーしてくれる存在がいる」
寮生活、学校生活、グラウンド。四六時中ともに過ごす仲間を背に、五回以降は踏ん張る。先頭を出した六回は強打者の黒川を厳しい内角攻めで併殺に。今大会、5点差を逆転した試合が二つもある智弁和歌山に得点の雰囲気を与えない。西谷監督が「話していると、どっちが大人か子どもか分からなくなるほどしっかりしている」と言うほどの精神力は、甲子園の決勝という特別な舞台でも揺らがなかった。
中学で146キロを投げた投手が来る――。大阪桐蔭の3年生が「最強世代」と言われるきっかけになったのが、根尾の入学だった。
あれから2年。副主将として、5番打者として、そして遊撃手兼投手として。「打倒・大阪桐蔭」を掲げるライバルたちをはねのけ、根尾は史上初の2年連続優勝投手となった。(山口史朗)