鹿児島県日置(ひおき)市東市来(いちき)町湯田の民家で男女3人が殺害された事件で、県警は8日、男性1人への殺人容疑で逮捕した岩倉知広容疑者(38)の供述に基づき、近くの山林から新たに男女2人の遺体を発見した。1人は、民家の住人で行方不明だった岩倉容疑者の父の正知さん(68)と判明。もう1人は岩倉容疑者の祖母で、正知さんと同居していた岩倉久子さん(89)とみて調べている。
孫の容疑者「祖母から注意、うるさく」 鹿児島3人殺害
事件は6日午後3時45分ごろ、久子さん宅で警察官が遺体を見つけて発覚。遺体は岩倉容疑者の伯父の岩倉正明さん(70)の妻、孝子さん(69)=鹿児島県薩摩川内(せんだい)市=、孝子さんの姉、坂口訓子(くにこ)さん(72)=同=で、正明さんの知人で近くに住む後藤広幸さん(47)も搬送先の病院で死亡した。死因はいずれも頸部(けいぶ)圧迫による窒息死だった。
捜査関係者によると、7日に逮捕された岩倉容疑者は調べに対し、「5人とも家の中で殺した。祖母と父の遺体は車で近くの山に運んで、自分で穴を掘って埋めた」と供述。捜索にあたった県警は8日午後3時20分ごろ、久子さん宅から約400メートル離れた山中の空き地で2人の遺体を見つけた。遺体は深さ数十センチのところに埋められており、傷みが激しかったという。空き地には孝子さんの車が止めてあり、県警が押収した。
岩倉容疑者は「(生活態度などについて)祖母らからいろいろ注意されてうるさかった」という趣旨の供述をしているという。県警は、岩倉容疑者が祖母らに不満を募らせていたことが、事件につながった可能性があるとみて調べている。
事件をめぐっては6日正午ごろ、「正知さんが数日間欠勤している」との連絡を受けた正明さんが、妻の孝子さんに久子さん宅へ確認に行くよう頼んだ。その後、孝子さんと連絡が取れなくなり、後藤さんに確認を依頼。後藤さんとも連絡がつかなくなったため、正明さんが日置署に通報した。