「森の中の店」を思わせるスターバックス。24本の木を切ったが、その他の環境は極力生かしたという=浜松市中区元城町
浜松市中区の浜松城公園で10日から、対照的な二つのコーヒーショップが向かい合っている。一つは「シアトル系」の世界最大級のチェーン店。もう一つは地元の若者が1人で切り盛りするワンボックスカーの移動店舗。規模も資金力も市との関わりも異なるが、志に違いはない。
高さ5メートルのガラス窓に覆われ、新緑の中で森林浴をしているような店内。木々の先には天守閣も垣間見える。「予想以上に公園にマッチしている。さすがスターバックスさん」。5日の内覧会で、鈴木康友市長が笑顔を見せた。
来園者のサービス向上のため、市が浜松城公園では初の試みとしてプロポーザル方式で軽飲食業者を公募した。4社の中から、店舗コンセプトに加えて富山市や静岡県藤枝市などの公園で経験豊富なスターバックスが選ばれた。敷地は500平方メートル、年間賃料は84万円だ。
店内の50席の他にテラス席も28席。天井には天竜材を用い、椅子のクッション材には遠州織物を使った。限定店舗だけが扱う、窒素ガスを注入したこだわりの水出しコーヒーも出す。
昨年末段階で、同社の店舗は世界76カ国に2万8039。浜松だけでも10日現在、13店ある。グローバル展開の一方で地域貢献も重視し、公園の清掃活動やフェアトレード、イベントへの協力を掲げる。
「『つなぐCaf●(●はeに鋭アクセント付き)』をテーマに、自然や人とのつながりを大切にしたい」と水口貴文CEOは言う。
このスターバックスから中央芝生広場を挟んだ70メートルほど先に、ワンボックスカーの「タタズミcoffee」はある。最高品質の豆を扱うが、移動店舗だからこそ抑えた値段で提供できるという。さくらまつり期間中の1日、店の前はカップルや親子連れの列が途切れることがなかった。
店主は浜松で生まれ育った松島…