アダルトビデオ(AV)出演の仕事を紹介したとして、警視庁は、AVプロダクション社長の国分恵介容疑者(37)=東京都目黒区大岡山1丁目=を職業安定法違反(有害業務の紹介)の疑いで、11日に逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、国分容疑者は別のAVプロダクション社員だった2016年2月末、別の男3人=同法違反罪で起訴=らと共謀し、わいせつな行為をさせることを知りながら、当時19歳の専門学校生の少女を渋谷区内のAV制作会社に紹介した疑いがある。女性は出演を拒んだが「仕事と割り切ってやれ」などと言って仕事を受けさせたという。
国分容疑者が現在社長を務めるプロダクションは、AV出演強要問題の表面化を受けて昨年4月に初めてできた業界団体「日本プロダクション協会」の発足メンバーの一つ。協会は、プロダクションとAV俳優との契約書を「人権と自己決定権に配慮した」統一契約書にしたり、撮影キャンセル時の賠償を俳優に請求しないようにしたりするといったルールを定め、加盟社は「適正AVプロダクションマーク」を掲げられるとしている。12日現在、大手プロダクションを含む39社が加盟している。
AVメーカーが加盟する知的財産振興協会(IPPA)などと共に、協会は大学教授や弁護士らでつくる第三者委員会の指導を受けており、業界内では自主規制を進める要の組織の一つとされているが、AV出演強要の被害者らを支援する団体によると、協会発足以降も加盟社が関係する被害相談が複数寄せられているという。