トランプ右向き
中国などを対象に鉄鋼・アルミ製品に高関税をかけ、強硬で保護主義的な姿勢を鮮明にしてきたトランプ米大統領が12日、多国間で自由貿易を促進する環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰をちらつかせた。一見ちぐはぐな姿勢の背景には、11月の米中間選挙をにらんで国内世論を味方につけ、中国を牽制(けんせい)しようとの狙いがある。
12日、トランプ氏がTPP復帰への検討を持ち出したのは、農業が盛んなネブラスカ州選出のベン・サッセ上院議員らとの会合だった。ホワイトハウスは「大統領は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表らに、よりいい条件での取引が交渉可能か、検討を指示した」と発表した。
一方でその日の深夜には、ツイッターで二国間での取引を重視する姿勢を鮮明にし「我々に貿易で何年も打撃を与えた日本と協定をまとめるべく動いている」と投稿。日本が避けてきた日米自由貿易協定が念頭にある可能性もある。
通商政策で米政権の交渉姿勢が一貫しない背景には、トランプ氏の掲げる「米国第一」主義が、多様な米国の利害をまとめきれていない現状がある。
米国が表明した対中制裁関税の…