帰国し、ボストン・マラソンのメダルを手に笑顔を見せる川内優輝=2018年4月19日午後2時14分、成田空港、嶋田達也撮影
マラソンの川内優輝(31)が来年度からプロ選手として活動することを表明した。「世界中のレースに出て勝ちたい。思い切り走れるのはあと10年もない。死ぬ時に後悔したくない」と話すように、公務員を辞める理由は練習に集中し、レースに出場しやすい環境に身を置くため。昨年くらいから関係者には退職をほのめかしていたが、今回のボストンの賞金で「しばらくはプロとしてやっていける」と思えたことで、踏ん切りがついたようだ。
ボストンVの川内、公務員ランナー卒業へ 来春県庁退職
世界6大レース(ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク、東京)で組織されるワールド・マラソン・メジャーズ(WMM)に勝ったことで、川内が今後、より多くの大会から招待されることは確実だ。現在、世界の主なロードレースは国際陸連からゴールド、シルバー、ブロンズと格付けされ、格付けを維持するためには、記録的、実績的に優れたランナーが走らないといけない仕組みになっているのも後押しになる。
公務員だったことで、これまではレースの賞金は受け取れたが、招待選手としての出場料は手にできなかった。「ボストンの賞金で3、4年は活動できる。スポンサーに縛られたくないので、自分から探すことはない」と話すようにお金にあまり執着しない川内だが、プロになれば出場料などで競技に集中することは可能になる。
「色紙にいつも『現状打破』と書くが、打破できていないのは自分だと最近、自己矛盾に陥っていた。環境を変えて来年4月から思う存分走りたい」と話した。(堀川貴弘)