旧優生保護法(1948~96年)のもとで遺伝性の病気や知的障害などを理由に不妊手術が強制された問題で、宮城県では、県が新たに手術を受けたとみられる約70人を特定した。近く公表する。同県ではこれまでに859人が判明しており、これで900人超の被害者が特定された。
強制不妊手術、実態は?救済は? 仙台では裁判始まる
宮城県は、県公文書館(仙台市泉区)に保管されていた過去の手術に関する文書を調べてきた。県の優生保護審査会に手術の適否の判断を申し出る「申請書」や、その後の手術を記録した文書など、複数の資料に基づいて実際に手術されたかどうか見極めた結果、これまで把握していない70人超を確認したという。
県が別に保管していた手術記録「優生手術台帳」には、1963~81年度に859人の記録があった。うち448人が未成年で、女性の最年少が9歳だったことも分かっている。一方、国の資料では県内で49~83年度に1406人が手術を受けたとされ、今回判明した約70人は、優生手術台帳に記載がない「空白期間」の人が中心だったという。(井上充昌)