ソフトバンクグループ傘下で米携帯電話4位のスプリントと、米携帯3位のTモバイルUSが近く、合併で合意する見通しになった。欧米メディアが27日(日本時間28日)、複数の関係者の話として一斉に報じた。実現すれば、米国の携帯電話市場は首位のベライゾン・コミュニケーションズと2位AT&T、そして合併後の新会社の3陣営に集約される。
米ブルームバーグ通信によると、Tモバイルはスプリントの価値を約240億ドル(約2・6兆円)と評価して合併する。Tモバイルの親会社、欧州通信大手ドイツテレコムが合併してできる新会社の株式の42%、議決権の69%をそれぞれ握る方向という。ソフトバンク側は新会社の支配権を譲ることになる。一方、米経済専門テレビCNBCは、スプリントの評価額を約260億ドルとしたうえで、早ければ29日にも合併合意が発表される見通しだと報じた。
ソフトバンクが2013年にスプリントを買収して以来、統合交渉はこれで3度目となる。オバマ前政権下の14年は規制当局が難色を示して断念。規制緩和に前向きなトランプ政権の発足を受けた17年の交渉も、新会社の支配権をめぐりソフトバンクとドイツテレコムが折り合わず、破談となった。
今回も合意がずれ込んだり、交渉が打ち切られたりする可能性はあるという。合意に至っても、消費者の利益に反しないか米規制当局が審査するなど、実現へのハードルは残る。(ニューヨーク=江渕崇)