米朝それぞれの「完全な非核化」とは
トランプ米大統領は27日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が朝鮮半島の「完全な非核化」目標で合意したことについて、「勇気づけられた」と評価した。一方で「過去の政権の過ちは繰り返さない。非核化されるまで最大限の圧力は続く」とも語り、北朝鮮を牽制(けんせい)した。短期間に核兵器の廃棄や施設の査察を求める米国と、経済的な見返りを求めながら段階的に進めたい北朝鮮との溝はなお埋まっていない。
27日夕に南北首脳が「完全な非核化」目標を明記した板門店宣言を発表してから、トランプ氏は立て続けに前向きな見方を示した。
ホワイトハウスで米国のオリンピック選手と面会した際には「南北朝鮮の人々が調和と繁栄、平和のもとで暮らせる日が来ることを望んでいるし、そうなりそうだ」。その後、ドイツのメルケル首相との共同記者会見では、6月初旬までの開催を目指す米朝首脳会談に向けた北朝鮮側との交渉について、「とてもうまくいっている。劇的なことが起こる可能性がある」と手応えを示してみせた。
ただ、こうした外交的な賛辞の一方で、米政府は非核化に向けた具体的な行動をとるまで、経済制裁は緩和しないとのメッセージも送り続けている。過去に何度も合意が破棄された経緯から、「もうもてあそばれない」(トランプ氏)というのが米政府の立場だ。米国は南北会談にあたり、北朝鮮が非核化への道筋や期限を示すことを求めたが、板門店宣言には盛り込まれなかった。
「完全な非核化」の実現には、核兵器やミサイル開発の凍結、廃棄、そして査察、検証と多くの行動が必要となる。
米国が求める「完全な非核化」…