金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が5日、面会した韓国特使団を北朝鮮の伝統料理でもてなした。礼儀を尽くした態度とねぎらいの言葉で、韓国を感動させた。海外メディアが伝える自身の風評も把握。「粗暴」「冷酷」といったイメージを打ち消し、老練な外交手腕を見せた。韓国大統領府関係者が8日、明らかにした。
韓国特使団は、平壌に到着した直後の5日午後4時前に面会した金英哲(キムヨンチョル)党副委員長から、午後6時から正恩氏が面会する事実を知らされた。金正日(キムジョンイル)総書記時代は、面会が実現するのは最終日が多かった上、面会は直前に知らされることが多く、破格の扱いだった。
特使団が会場の労働党本部に到着すると、正恩氏と李雪主(リソルチュ)夫人が玄関まで出迎えた。夫妻は、会談後の夕食会でも同じように入り口で特使団を接遇した。
会談では、北朝鮮を説得しようと身構える韓国側に対し、正恩氏が「皆さんの苦労はよく理解している」と述べ、合意した4月末の南北首脳会談開催など6項目について次々に伝えた。韓国は2月に訪韓した正恩氏の実妹、金与正(キムヨジョン)氏や金英哲氏らに様々な提案をしており、回答を準備していた模様だった。
韓国大統領府の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長が文在寅(ムンジェイン)大統領の親書を渡そうと席を立つと、正恩氏も自ら立ち上がって受け取りに来た。正恩氏は海外メディアが伝える自身の評価やイメージもよく知っていた。怒るわけではなく、軽い冗談を交えながら、余裕のある態度を見せた。率直で大胆な受け答えが目立ったという。
夕食会では平壌焼酎やワインを提供。2000年の南北首脳会談で提供された「平壌温飯」というスープをかけたご飯にチヂミを載せた伝統料理も振る舞った。同席した金与正氏が「平壌の食事はお口に合いますか」と気遣った。
北朝鮮は翌6日の昼食では、金…