NPT再検討会議準備委のサイドイベントで証言する被爆2世の(左から)崎山昇さん、平野克博さん、角田拓さん、門更月さん=2日、スイス・ジュネーブ、田井中雅人撮影
広島・長崎の原爆被爆者を親に持つ「全国被爆二世団体連絡協議会」の代表4人が2日、スイス・ジュネーブで開催中の核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会のサイドイベントで証言した。高齢化で海外での発言が難しくなってきた親世代の思いを受け継ごうと、初めて国際会議の関連行事に代表団を送った。
特集:核といのちを考える
両親が長崎で被爆した長崎市の崎山昇さん(59)は、膵臓(すいぞう)にのう胞があり、膵臓がんになる不安を抱える。昨年国連で採択された核兵器禁止条約に「被爆者や核実験被害者らの苦難」「世代を越えて放射線が人体に与える悪影響」が盛り込まれていることに触れ、「被爆2世も核被害者。日本政府がどんな措置を講じるかが、世界の次世代の核被害者の救済につながる」として、いまだ実現していない被爆者援護法の被爆2世への適用を求めた。
協議会は1988年の結成当時から適用拡大を日本政府に訴えてきた。だが、日本政府は、原爆の放射線による遺伝的影響があるという科学的知見が得られていないとして、適用拡大しない方針を示している。
母親が広島で被爆した広島市の角田拓さん(54)も「親世代と同じように、がんや白血病といった病気になるのではないかとの放射線リスクにおびえて生きていくこと自体が人権侵害だ。核と人類は共存できない」と証言。「ジュネーブに来て、核軍縮を議論する外交官らと交流し、国際社会の中で私たちの存在を伝える意味を感じる」と話した。(ジュネーブ=田井中雅人)