会長付特別補佐就任の記者会見に臨むイチロー=AP
大リーグ・マリナーズは、イチロー=本名・鈴木一朗=外野手(44)がベンチ入りメンバーから外れ、会長付特別補佐に就任すると3日(日本時間4日)、発表した。今季は試合に出場せず、監督、コーチや選手たちをサポートする役目に回る。日米通算4367安打、大リーグ通算3089安打など、数々の金字塔を打ち立ててきた球史に残る名選手は、野球人生の大きな岐路を迎えた。
「大好きなチーム、大好きなチームメート。そのチームがこの形を望んでいるのであれば、それが彼らの助けになるのであれば、喜んで受けたということ」。イチローは本拠、セーフコ・フィールドであった記者会見で、決断の理由を明かした。
発表によると、今季、イチローは試合には出ないが、練習は継続し、守備や走塁、打撃について他の選手に助言する。遠征にも同行し、首脳陣や球団スタッフにもアドバイスする。今年、試合ではプレーできなくなるが、イチローは会見で「僕は野球の研究者でいたい。自分が今44歳で、アスリートとしてこの先どうなっていくのかを見てみたい」などと話した。
マリナーズのジェリー・ディポト・ゼネラルマネジャー(GM)は「この契約は2018年のみだが、イチローが長期間、マリナーズのメンバーでいてくれることが、我々にとってのゴール」とコメントした。
イチローは昨オフでマーリンズを退団。オープン戦が始まっていた3月7日、古巣のマリナーズへ6季ぶりに復帰した。右ふくらはぎの張りや、頭部への死球といったアクシデントに見舞われたものの、開幕戦では「9番・左翼」で先発出場を果たした。以降も本塁打性の当たりを好捕するなど、随所でイチローらしいプレーは見せたが、出場15試合で打率2割5厘にとどまっていた。
19年、マリナーズとアスレチックスの開幕戦が東京で開催される。来季、イチローが選手に復帰する可能性も残っているが、長く実戦から離れることになるため、実際にプレーできるかどうかは不透明だ。イチローの大ファンで、通算安打数を記した手製のボード「イチ・メーター」で知られるエイミー・フランツさんは、この日もセーフコ・フィールドの右翼席にいた。「残念だけど、19年の東京での開幕戦で選手に戻ることを信じています。もちろん、これからも毎日応援します」と話した。(シアトル=山下弘展)