力投する興国の中田
高校野球の春季大阪府大会4回戦で、興国が昨春の選抜準優勝の履正社を4―0で破り、5回戦進出を決めた。興国は第50回全国選手権の優勝校。50年前の王者が、100回目の夏へ向けて弾みをつけた。
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身長173センチの小柄なエースが、強豪打線を力でねじ伏せた。興国の先発は背番号1の右腕中田健太。「思ったよりもストレートで押すことができた」と、直球を思い切り投げ込む。一回2死二塁のピンチでは4番白瀧恵汰に直球勝負。力のない中飛に打ち取り、波に乗った。
興国の捕手、橋本星哉が「ストレートの伸びが良い時はフライのアウトが多くなるのが中田の特長」と評する通り、27のアウトのうち、16が飛球。中田の直球が打者のイメージよりも上を通過していた証拠だ。被安打5で、公式戦初完投、初完封を達成した。
興国は50年前の1968年、第50回全国選手権で初出場優勝を果たした。だが、その後は第57回大会(75年)に出場しただけで、以来、42年間甲子園から遠ざかる。
だが、3年前の秋に就任した田中英樹監督、昨春から指導する元ロッテの喜多隆志部長のもと、昨夏は大阪大会8強、秋は4強と着実に力をつけてきた。
そして、秋の準決勝で1―8と大敗した履正社にリベンジしての5回戦進出。「良いイメージで次につなげられます」と中田が言えば、橋本も「夏に向けて手応えのある勝利です」とにんまり。
中田の他にもタイプの違う4投手が控える投手陣がチームの看板。この夏は大阪桐蔭、履正社とは別の南大阪大会に挑む古豪が、大きな自信を手にした。(山口史朗)