京都タワー完成前の1963(昭和38)年当時、京都駅近くにあった案内所(京阪バス提供)
観光名所を巡る定期観光バスの先駆けとされる京阪バス(京都市南区)の「京都定期観光バス」が、4月で90周年を迎えた。交通手段や旅行スタイルが多様化し、年間の利用者数はピーク時の2割弱。「混雑を気にせず、一人からでもガイド付きで観光が楽しめる気軽さが見直されつつある」と、同社はPRに力を入れている。
京都 よむ・みる・あるく
《僅(わず)(か)の時間で愉快に見物》
《自動車は遊覧式の高級車》
京都定期観光バスの前身、「京都遊覧乗合自動車」がこんな触れ込みで営業を始めたのは、1928(昭和3)年4月18日。京都市営バスが出町柳~植物園間で営業を始めたのがそのひと月後で、乗り合いバスも珍しかった時代だ。京阪バスによると、観光名所を巡る定期観光バスとして「国内のはしり」だという。
当初は12人乗り7両、16人乗り3両の計10両をそろえ、京都駅を起点に8時間かけて市内を回った。
年々コースを増やし充実させたが、戦時中は真っ先に燃料規制の対象に。戦後もしばらくは観光目的のバスは運行が許されず、進駐軍にバスを提供したり、外国人を案内したりしながら徐々に復活させていった。ピーク時の75年には、年間119万人が利用した。
交通網の発達に加え、団体旅行から個人やグループ旅行が主流になったことなどから、近年の利用者は年17万~18万人にとどまる。
現在は季節やテーマごとに幅広…