コカ・コーラシステムの「ジョージア ジャパン クラフトマン ブラック」
味が濃く、缶入りが多かったコーヒー飲料に新しい風が吹いている。さっぱりしたペットボトル入りが、人気を集め始めた。時間をかけて少しずつ飲むのに向いている。背景には働き方の変化があるようだ。
コカ・コーラシステムは「ジョージア ジャパン クラフトマン」を14日に全国で売り出す。500ミリリットルのペットボトル入りで、ブラックは税抜き139円、カフェラテは149円。
水から抽出し、苦みや酸味を抑えた。机の傍らに置いて、ちょっとずつ飲んでもらうイメージだ。「サントリーのヒット商品が新たなジャンルをつくった」と担当者は話す。
その商品は、サントリー食品インターナショナルが昨春に発売したペットボトル入りの「クラフトボス」。500ミリリットル入りでブラックは税抜き160円、ラテは170円。
容器もさっぱりした味わいも、ちびちびだらだらと飲む「ちびだら飲み」をしやすいと、若者や女性に受けた。これまでに3億6千万本以上が売れた。
サントリーは、缶コーヒーの主な顧客に、工場や建築現場で働く人を想定していた。味は甘め。休憩時間に飲み切れるように容器は190ミリリットル前後と小さめだ。
だが、リクルートワークス研究所の調査をもとにしたサントリーの推計では、製造業・建設業の就業者数は1995年ごろから減り続け、2015年には1350万人になった。
一方、情報・サービス業に携わるITワーカーは増え続け、20年には3千万人を超える見通し。「ちびだら飲み」をしやすい人たちだ。「クラフトボス」はここを狙い、ヒットした。
新しい市場をめざし、他社も工夫をこらす。
「タリーズコーヒー」を手がける伊藤園が3月に売り出した「スムース テイスト ラテ」は、電子レンジに対応したペットボトルを採用し、温め直しやすくした。500ミリリットル入りで税抜き160円。
アサヒ飲料は、お茶を加えた飲みやすいコーヒー飲料をペット入りで相次いで投入する。
ほうじ茶を加えた「ワンダ TEA COFFEE カフェラテ×焙(ほう)じ茶」(525ミリリットル、160円)を4月に発売済み。6月には煎茶を加えた「ブラック×煎茶」(150円)を売り出す。狙うのは20代の若者という。(牛尾梓)