静岡戦の五回、左翼線二塁打を放つ東邦の石川=19日、小牧市民
高校野球の春季東海地区大会は19日、準決勝があり、ともに今春の選抜に出場した東邦(愛知)と静岡が対戦。東邦が9―7で打撃戦を制し、決勝進出を決めた。
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東邦の4番を担う石川昂弥(たかや)(2年)には、選抜後に決めたルールがある。
「低めの変化球は絶対に振らない」
出場校中トップのチーム本塁打数で臨んだ選抜初戦には苦い記憶がある。花巻東の左腕・田中大樹(3年)に手玉にとられた。低めのチェンジアップに打撃を崩され、130キロに満たない直球に狙いを絞れなかった。石川は4打数無安打。チームも3―5で敗れた。
悔しい負け方から学んだことが、この日は生きた。石川は一回、1死二塁で右打席に入ると、右足を捕手寄りの白線上に置いて構えた。「長くボールを見たいので。これなら、しっかり見極められる」。5球目の変化球を引きつけてとらえ、左前適時打にした。
三回も浮いた初球のスライダーを左前へ。五回は、高めの直球。「まっすぐならいつでも打てる」と体が反応。左翼線二塁打にした。
ただ、石川が手応えを感じたのは、その後の2打席だった。ボール球につられず、いずれもフルカウントから四球を選んだ。「これまでは2ストライクからボール球を振ってしまっていた。今日は見極められた」。全打席で出塁し、打線のつながりに貢献した。
185センチ、81キロの恵まれた体格が生み出す長打力への評価が高かったが、変化球への対応に苦労してきた。この春、その課題が克服されつつある。「どんな相手でも自分の打撃ができるようになりたい」。この選抜後に掲げた目標に、着々と近づいている。(小俣勇貴)