文芸春秋が発行する「月刊文芸春秋」(左)と「週刊文春」
文芸春秋(東京)の部長ら管理職11人が連名で、松井清人社長が内示したとされる幹部人事案の再検討などを求める要望書を、社長を含む役員全員に提出した。労働組合は、人事をめぐって社内が混乱しているとして、「混乱の収拾」などの対応を経営側に申し入れた。
「社長は公私混同」 要望書の経緯、文芸春秋常務が語る
同社の複数の幹部によると、松井社長は4月、自らが会長に就き、経理担当の常務が社長に昇格するなどの人事案を内示。一部の役員が松井氏の会長就任に反対したところ、松井氏は会長には就かない考えを示す一方で、次期幹部人事は自らが行う意向を示したという。松井氏の去就を含む役員人事案は5月末の取締役会で決め、6月の株主総会に諮られる見通し。
24日に役員に提出された要望書では「社長が、自らの会長就任を前提として役員に内示した人事案を再検討していただくことを要望いたします」「新しい社長および役員に関する人事は、現役員および執行役員12人の合議によって決めることを要望いたします」など4項目を求めている。労組は緊急の総会を経て、「混乱の速やかな収拾」や「報復人事をしない」ことなどを会社に求めている。
朝日新聞の取材に応じた木俣正剛常務は「松井社長の言動には問題がある。部長の行動の裏には文春ジャーナリズムを守るため自浄作用を働かせないといけないという思いがある。(松井社長は)会長にならないと言った以上、新体制に全権を任せるべきだ」と話している。
松井社長は取材に「広報を通してほしい」と答えた。文芸春秋広報部は「要望書については真摯(しんし)に受け止め、対応いたします」などと文書で回答した。(松田史朗)