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「マイアミの奇跡」伊東輝悦が語る、逆境西野Jの勝算

作者:林幹益  来源:asahi.com   更新:2018-6-14 9:50:36  点击:  切换到繁體中文

 

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「日本代表には期待しかしていない」と話す伊東輝悦選手


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日本サッカー史上最大の番狂わせといわれる「マイアミの奇跡」。1996年アトランタ五輪でブラジルを破ったこの一戦、勝利に導くゴールをあげたのが、43歳の今も現役の伊東輝悦選手(J3アスルクラロ沼津)です。前評判がいま一つのワールドカップ(W杯)日本代表に勝算は? 伊東選手に聞きました。


いとう・てるよし 1974年生まれ。静岡県出身。ポジションはMF。93年にJ1清水に入団し2010年までプレー。J1甲府やJ3長野などにも所属。17年に沼津に移籍した。11年に史上初のJ1出場500試合に達するなど、J1通算出場517試合(歴代7位)、30得点。日本代表として国際Aマッチ27試合に出場。


《主に23歳以下の選手で臨むこの大会にブラジルは、後に世界的な選手に成長するロナウドやロベルトカルロス、オーバーエージ枠にもリバウド、ベベトらスター選手を起用。日本代表も伊東選手や前園真聖、中田英寿両選手ら後の日本代表を背負う面々がずらり。指揮官は西野朗監督だった》


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僕はリバウドに対応することが多かった。彼はうまかった。身長がありながら速いし、足元のテクニックもあって、ああボール取れねえな、と。ただ、確かにブラジルはうまいけど、試合が進むにつれ、何とかなりそうだな、やれんな、みたいな感覚もつかめていきましたね。


前半を0―0で折り返すと、ブラジルは焦りからか、「個」の力を主張するプレーになってきました。ロナウドを途中投入し、ドリブルを盛んにしかけてきたけど、その方が守りやすかった記憶がありますね。


《後半27分、ブラジルの猛攻の一瞬の隙をついた。左サイドの路木龍次選手が、前線の城彰二選手をめがけ、ブラジルDFの背後に浮きパスを出した。ブラジルDFとGKが交錯し、こぼれたボールがブラジルゴール前へ。駆け上がってきた伊東選手が無人のゴールに流し込んだ》


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確か、ぞのさん(前園選手)あたりからサイドの路木さんにボールが渡ったんです。そのとき景色が見えたんですよ。得点が生まれそうな景色、ああチャンスだなって。ブラジルのゴール前に何となくスペースがあるのが見えました。日本がボールを奪い返し、ブラジルが(攻撃から守備に転じて)バランスを崩したときだったので、つけ込めそうだなと感じ、(ブラジルのゴール前まで)数十メートル駆け上がったんです。


こぼれたボールに触ろうかどうしようか迷ったんです。彰二(城選手)に悪いなって思った。あのとき、アウダイール(交錯したブラジルDF)に彰二が行っていたので、彰二がボールに触ったかもしれないと。ボールはゴールに向かって転がっていたので、そのままなら彰二のゴールじゃないですか。でも触っちゃいますよね。いいや触っちゃえって。試合後に確認したらアウダイールが触っていたので、(城選手でなくて)ああよかったなって。


《日本は試合前、ブラジルの弱点としてDFとGKの連係の悪さを挙げていた。結果的にこの分析が当たったことになる》


もう20年も前のことなので、西野監督からどんな指示があったかはっきりと覚えていないですが、(五輪代表チームに)分析スタッフもいたので、対策はしっかり練ったと思います。ブラジルの攻撃にグループで対応するよう、準備をしていたと思います。1対1では勝てなくても、うまくグループで対応すればブラジルの攻撃を止めることはできる。実際、試合でそれができた。能活(GK川口能活選手)のビッグセーブも大きかったですけど、あれもDF陣とうまく連係できていた結果ですね。いい準備があったから勝てたと思う。みんながブラジルに勝つっていう強い気持ちを持ててピッチに立つことができたのだと思います。


《伊東選手は、98年W杯フランス大会のメンバーに選ばれたもののピッチには立てなかった。続くトルシエジャパンでは代表常連だったが、直前のけがもあり2002年日韓大会の代表入りは逃した》


W杯はサッカー界にとって大きな目標なので、(フランス大会の)あのピッチには立ちたかったですよ。(日韓大会は)力がないから選ばれなかったのだけど、けがで最後のアピールができなかったのは非常に悔しかった。ロシア大会でピッチに立つ選手にはベストを尽くしてほしい。多くが海外で経験を積んで、僕なんかより、よほどサッカーを知っています。アドバイスなんてありません。応援するだけです。


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西野監督は選手の個性を生かすタイプの監督です。(J1を制覇したガンバ監督時代は)攻撃的なサッカーをしていたので攻撃的な監督のイメージがあるかもしれないけど、あのときは遠藤保仁選手やいい外国人選手が攻撃陣にいた。選手が違えば違うサッカーになっていたかもしれません。ロシア大会でも選手の個性を引き出すチーム作りをすると思います。


ハリルホジッチ監督が代わり、選手たちも、ハリルさんだけの責任ではなくて自分たちにも責任があると思っているでしょう。そういう意味で結束して結果を出したいという思いはより強まっただろうし、そのあたりも含めて西野さんがいい方向に導いてくれたらいいですね。


ブラジルは非常に大きな敵でしたけど、「マイアミの奇跡」を通じてつかんだ小さな自信は、やってやれないことはない、ということ。当然それにはいい準備がないとできないのだけれど、何事も絶対はない。ロシア大会で日本が1次リーグを突破するには、グループの力が絶対必要です。突破の可能性? そんなの五分五分じゃないですか。サッカーは番狂わせを起こしやすい。何が起こるか分からないと思いますよ。(聞き手・林幹益)



いとう・てるよし 1974年生まれ。静岡県出身。ポジションはミッドフィールダー(MF)。東海大第一高卒。93年にJ1清水エスパルスに入団し2010年までプレー。J1甲府やJ3長野、J3秋田に所属。17年に沼津に移籍した。若手のころはドリブルが得意な攻撃的MFとして活躍し、その後ボランチにコンバート。確かな技術と豊富な運動量を武器に攻守のつなぎ役を果たす。11年に史上初のJ1出場500試合に達するなど、J1通算出場517試合(歴代7位)、30得点。98年W杯フランス大会で代表に選ばれるなど、日本代表として国際Aマッチ27試合に出場。




 

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