2006年の決勝イタリア戦でレッドカードをもらい、退場するフランス代表のジダン=ロイター
不名誉か、それとも一線で長く働いてきた勲章か――。得点、試合数、最年少・最年長などワールドカップ(W杯)を彩る記録がある。そのなかでも退場、警告で出されるカードの累積枚数は異質だ。歴史をひもとくと、上位を占めるのは名選手ばかり。ロシア大会で、新たな「警告王」誕生の可能性もある。
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W杯は、ロシア大会で21回目。過去20回を振り返ると、最多は累積6枚で、3選手が並ぶ。そのなかでも2枚のレッドカード(退場)を含むMFジダン(フランス)が歴代1位となる。初優勝に導いた1998年フランス大会からの3大会、計12試合で積み上がった。
引退を公言して臨んだ2006年ドイツ大会は衝撃的だった。当時34歳。決勝の大舞台で、時折感情的になる悪癖をのぞかせた。1―1の延長後半、相手イタリアのDFマテラッツィの胸に頭突きを食らわせた。悪夢の退場劇。PK戦で敗れて、表彰式にも姿を現さなかった。
累積6枚の残り2人は、守備陣だ。メキシコのDFマルケス(4大会で計16試合)と、ブラジルのDFカフー(4大会で計20試合)。ともに持ち味である球際の激しい守備と、カードをもらう受難は紙一重かもしれない。
DFマルケスはまだ現役。史上最多「7枚目」の可能性がある。チームメートから「ボス」と慕われる39歳はロシア大会でもメンバー入り。「激しく戦う」が口癖だ。初戦は17日(日本時間18日0時)で王者ドイツとぶつかる。
「警告王」の候補者は他にもいる。累積5枚をため込んでロシアに入った選手は2人。「日本キラー」として知られるFWケーヒル(豪)と、「チームの心臓」のDFマスケラーノ(アルゼンチン)だ。
レッドカード、イエローカードのリストには、上位には歴史に名を残した選手が並ぶ。累積5枚には、1986年メキシコ大会最優秀選手(MVP)のMFマラドーナ(アルゼンチン)、W杯最多出場試合を誇るMFマテウス(ドイツ)がいる。世界の大舞台で実績を積み重ねてきたからこその記録でもある。(吉田純哉)