(16日、プロ野球交流戦 西武9―2中日)
狙った球だった。「会心だったので入ったと思った」。2死から中軸3人が四球でつないだ六回の満塁機で、西武の6番・森だ。豪快な一振りで、試合の流れを完全に引き寄せた。
1点リードで、追加点がほしい絶好機。「しっかりつなぐ意識。初球から振りにいく」と打席に立った。
1ボールからの2球目、真ん中低めの138キロに反応したがファウルに。170センチの左打者は「ミスショットだけど、タイミングは合っている」と前向きに捉えた。フルカウントからの6球目、同じコースに来た137キロスライダーを見逃さなかった。思い切り振り抜き、高い弾道が右翼席中段へ。「援護点が欲しい場面で、うれしい一発」と、今季2度目、自身3度目の満塁弾を喜んだ。
満塁の1日だった。一回の第1打席は、2死満塁で空振り三振。三回の1死満塁では直球を右前にはじく先制適時打。そして六回は豪快な一発。4試合ぶりのスタメンで5打点。打棒で存在感を見せた。
守っても、中3日の先発カスティーヨを好リード。「良い球を選択するのが大前提で、1回1回を大切にいった」と直球を軸に変化球を絡めて7回3安打2失点にまとめた。
チームは捕手3人体制だ。それでもオールスターゲームのファン投票は、15日時点で捕手部門リーグ1位。期待の証拠だ。目標とする「打てる捕手」にまた一歩近づいた。(大坂尚子)
3投手で計10四球を与えるなど「投壊」で3連敗となった中日の森監督は「10四球か。ヒット10本と一緒だろ」とため息交じり。17日は松坂が先発予定。メットライフドームでの公式戦では西武時代の2006年10月のパ・リーグプレーオフ以来の登板となる右腕について、指揮官は「頑張ってくれ。頼むわ。応援しているわ」と期待した。
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○辻監督(西) 「森の満塁本塁打が一番効いた。(盗塁した松井は)あの年ですごい、見事」
○松井(西) 今季3度目の先発で2年ぶりの盗塁。「いけたらいっていいというサインだった。必死にやっていて、その中で安打も出た」
○森(西) 今季2度目の満塁弾に「会心だったので入ったと思った。援護点が欲しい場面で、うれしい一発」。