後半、ドリブルするフランスのポグバ⑥=長島一浩撮影
(21日、フランス1―0ペルー サッカー・ワールドカップ)
フランスがなぜ、今大会の優勝候補に挙げられるのか。欧州の強豪クラブの主力をそろえる攻撃陣だけが理由ではない。
「フランスの守備は際立っていた。あれでも全力ではなかったと思う」。無得点に抑えられたペルーのガレカ監督は、半ばあきれたように試合を振り返った。
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最大のキーマンは、DFラインの一つ前に位置する守備的MFのカンテだ。168センチの体でピッチのどこへでも顔を出す。独力で球を奪うのはもちろん、守備する味方のサポートに走り、数的に優位な状況を作っては球を拾い続けた。後半追加時間にはペルーのGKを起点とする速攻に1人だけ反応し、反撃の芽を摘んだ。その驚異のスタミナに、守備的MFとしてコンビを組むポグバは「彼は肺が15もある」とうなった。
点を取ることが仕事のFWたちも、守備で汗をかくことをいとわない。球を持った相手に圧力をかけてパスミスを誘い、味方のMFやDFがそれを奪って攻撃に転じる場面が再三見られた。前半34分に決勝点を挙げた19歳のエムバペも「チームが必要とするプレーのために、個人が犠牲を払うのは当然のことだ」と言い切る。
19歳の新星エムバペ、フランスのW杯最年少ゴール
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安定した守備は、フランスが20年ぶりに目指す頂点へたどり着くのに欠かすことができない要素だ。W杯が32チームで争う現行方式になった1998年以降、優勝チームはいずれも1試合2失点以下に抑えた上で、2試合続けての失点は一度もない。
「前線からDFまでをコンパクトに保ち、連動して動く。これが強固な守備にとって一番大切なこと」。そう話すデシャン監督は98年の優勝メンバー。自らの成功体験を、チーム作りにしっかりと生かしている。(清水寿之)