地震の影響で鉄道が運休したため、新淀川大橋を徒歩で渡る人たち=2018年6月18日午後7時30分、大阪市淀川区、細川卓撮影
近畿6府県の企業の事業継続計画(BCP)の策定率は13・1%で、全国平均(14・7%)を下回ったことが帝国データバンクの調べでわかった。18日に大阪府北部を震源とする地震に見舞われた近畿だが、中小企業を中心に策定が進んでいない現状が浮き彫りになった。
調査は5月18~31日に全国2万3157社を対象とし、1万1社から回答を得た。近畿は3733社のうち1661社が答えた。
近畿では「策定中」「検討中」と答えたのが31・4%で全国平均の30・2%を上回った。「策定していない」と答えたのは近畿が45・9%(全国は45・6%)。専門知識の不足や人手不足などが理由だった。
従業員数が少なくなるにつれて、策定率は低くなる傾向にある。全国では大企業の26・7%が策定しているものの、中小企業は11・7%にとどまる。帝国データバンクの担当者は「中小企業ではBCPの必要性を感じないという声も多く見受けられた。今回の地震は、BCPの意義を感じるきっかけになるのではないか」と話す。
企業のBCP普及をめぐっては、政府が2020年までに大企業でほぼ100%の、中堅企業で50%の策定率をめざしている。中小企業庁は今年3月、中小のBCP策定率の向上に向けて、自治体や金融機関など中小と関わりを持つ機関に対し、BCPの意義や策定方法を紹介するガイドブックを作成した。企業に直接呼びかけるだけでなく、関係機関の意識を高めて働きかけてもらうことにした。
長沼裕史・経営安定対策室長補佐は「BCPには自然災害以外にも感染病や取引先の倒産への備えという側面もある」と強調する。防災や減災以外の経営面でのメリットを理解してもらうように努めている。(久保田侑暉)
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《事業継続計画(BCP)》 災害やテロなどの緊急時、企業や行政が重要な業務を続けたり、中断しても早期に復旧させたりするために事前に定めた計画。優先すべき事業、復旧目標、代替設備の確保などを盛り込んでいる。東日本大震災を受けて企業などが見直しを進めた。BCPは「Business Continuity Plan」の頭文字。