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妻への強制不妊と中絶、夫も提訴「本意でないまま同意」

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提訴のため札幌地裁に入る弁護団と支援者ら=2018年6月28日午前11時6分、札幌市中央区


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旧優生保護法(1948~96年)に基づき不妊手術を強いられ、救済措置がとられていないのは違法として28日、国に損害賠償を求め、原告3人が札幌地裁と熊本地裁に提訴した。北海道の原告は妻が不妊手術と人工妊娠中絶を強制されたとする夫婦で、家族が共に提訴するのは初めて。中絶手術を訴えるのも初という。熊本は男性の渡辺数美さん(73)で、西日本では初の提訴となる。


特集:強制不妊手術


強制不妊手術の国賠訴訟の提訴は計7人となった。


札幌地裁に提訴した夫婦の訴状によると、女性は知的障害があり、1981年に妊娠したが、親族から中絶するよう説得された。夫は同年6月に中絶と不妊手術の同意書に、本意ではないまま署名。妻は中絶手術と不妊手術を受けさせられたという。


原告側は「夫婦で子どもを産み育てる生活を二度と望めなくなった」などと主張し、国が救済を怠ったのは違法だと訴える。同法は障害者らへの人工妊娠中絶も規定していた。道に女性の手術記録は残っていなかったという。国にそれぞれ1100万円の賠償を求める。厚生労働省母子保健課は「国に訴状が到達していないので、コメントは差し控える」としている。


変形性関節症を患う熊本県の渡辺さんは、10~11歳ごろに熊本県内の病院で精巣を摘出する手術を受けた。15歳までに身体障害者手帳を得たが、そのころ、初めて母親から優生保護法と自身が受けた手術について聞かされたという。骨密度が低く、いまも骨折しやすい。かかりつけの医者からは「ホルモンバランスが崩れている」と言われているという。


渡辺さんは子どもをもうけることができず、手術の後遺症による体の不調が続き、憲法が保障する基本的人権を侵害されたと主張。旧優生保護法は違憲で、96年の法改正後も補償を怠った国には国家賠償法上の責任があると訴え、3300万円の損害賠償などを求める。


渡辺さんは、職業訓練を受けて障害者の装具をつくる会社に長年勤め、結婚を考えたことも2度あったが、子どもをもうけることができないため諦めた。相手は「子どもができなくてもいい」と言ってくれたが、「彼女の家族や親戚に波風が立つのではないか、悲しい思いをさせるのではないか」との思いからだった。人生を悲観して何度か自殺を考えたという。


熊本県によると、県内で51~76年に246人が不妊手術を受けた記録があるが、名前など個人を特定する資料は残っていないという。


■わが子奪われた悔し…



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