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開催国ロシアが快進撃 スペインを撃破、興奮のるつぼに

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PK戦の末にスペインを破り、歓喜にわくロシアのファン=2018年7月1日午後7時41分、モスクワ・ルジニキ競技場、高野遼撮影


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これが開催国の勢いなのだろうか。サッカー・ワールドカップ(W杯)でロシアが1日、スペインを破り、8強入りを決めた。開幕前は自国民にも期待されていなかったチームだが、大声援を背に快進撃が止まらない。


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優勝候補の一角、スペインが圧倒的に支配した一戦。耐え続けるロシア守備陣を支えたのは、7万8千を超える観客の大半を占めた地元ロシア人ファンの声援だった。スペインのパス回しにはブーイングと口笛の嵐。球を奪って攻めに転じると、観客は総立ちとなった。


1―1の同点で延長戦も残り10分を切る。突然、強い雨がピッチに落ちてきた。「スペインは太陽の国。ロシアへ恵みの雨だ」と声が上がる。ほぼ全員が立ち上がり、「ロシア」の大合唱が幾度もスタンドを揺らした。


同点のままPK戦へ。観客が通路まで押し寄せ、PK1本ごとに歓喜とざわめきが交差する。スペインの5人目が放ったシュートをロシアのGKが止めた瞬間、会場は興奮のるつぼとなった。拳を突き上げ、抱き合い、無数のロシア国旗がスタンドにはためいた。


ロシア代表の前評判は、決して高くなかった。開催国として予選を免除され、今年未勝利のまま迎えた大舞台。「1次リーグ突破は難しい」と冷ややかなファンも多かった。空気を変えたのは開幕戦。サウジアラビアに5―0で快勝すると、エジプトにも連勝。一気に国民の心をつかんだ。


8強入りをかけたこの日、会場にはチケットを持たない人まで押しかけた。150キロほど離れた町から駆け付けた女性3人組は「どうしてもこの雰囲気を味わいたくて。昨日、イエローカードの意味を知ったばかりだけど」。まさに国民の大半が注目する試合となった。


歴史的な勝利を遂げ、観客からはチームを絶賛する声が相次いだ。「チャンスは1%と思っていた。最高に幸せ」とセルゲイ・イエジョフさん(58)は息子とハイタッチ。弟と訪れたグレプ・パシンコさん(20)は「明日は仕事だけど、今夜はお祭り。みんなで町に繰り出すよ」。


一方、スペイン人ファンのなかには涙ぐむ人も。「大会直前の監督交代が痛かった。今大会は悪い試合ばかり。復活のため、我々は多くを変えなければいけない」とフェルナンド・ロペスさん(37)は肩を落とした。


開催国にしては、どこかおとなしく見えていたモスクワの街。だがこの日は、バスでも駅でも街中でも、ロシア人たちの歌声が夜遅くまで響いていた。(モスクワ=高野遼)



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