小岩の小久保開偉=神宮
(18日、高校野球東東京大会 関東一12―1小岩)
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1点を追加され、なおも五回1死一、三塁のピンチ。小岩の小久保開偉(かい)(3年)がマウンドに上がった。元々は遊撃手だが、西悠介監督の「複数ポジションを守れるように」という方針でマウンドへ。「思い切り腕を振ろう」。四球で、満塁とピンチを広げたが、その後は中飛と二ゴロに抑え、ピンチを脱した。
小久保は東京都江戸川区にある上一色中学校の野球部出身。チームは都大会優勝経験もある。小久保は中学時代は控え選手で、代走で試合に出場する程度。中学3年で、チームは全国大会に出場したが、小久保は記録員だった。
「チームの中心として試合に出たい」。高校進学後、野球部に入部すると、練習は休まずに参加。苦手な守備を克服するために、全体練習終了後の自主練習は毎回、守備に時間を割き、ノックを受け続けた。少々、体調が悪くても、「他の選手はもっと練習している」と決して練習は休まない。母の恭子さん(52)は「家に帰っても、気付いたらバットを振るか、グローブを磨くか。それくらい野球漬けの日々だった」と振り返る。
この日、六回も小久保はマウンドに上がるが、本塁打を浴びるなどし、途中で降板。チームもコールドで敗れた。
試合後、西監督は「入学当初は3年夏に投手として出場するとは思っていなかった。いい意味で裏切ってくれた」と話した。小久保は「中学時代に控えでも練習すれば、レギュラーになれるんだと学んだ」と話し、「学んだことを将来に生かしたいです」と言って、球場を後にした。=神宮(滝口信之)