名人挑戦をかけた対局に入った張栩九段(左)。右は黄翊祖八段=19日午前10時、東京・市ケ谷の日本棋院
囲碁界の絶対王者、井山裕太名人・七冠への挑戦権を争う第43期囲碁名人戦リーグで、挑戦まであと1勝に迫る首位の張栩(ちょう・う)九段と黄翊祖(こう・いそ)八段の対局が19日午前10時、始まった。
ライブ中継、19日午前10時から
東京・市ケ谷の日本棋院「幽玄の間」。対局開始を告げるブザーが鳴ると、両者一礼して先番の黄八段が右上隅に黒石をそっと置いた。張九段も一拍置いて白石を対角線上の左下隅に打つ。持ち時間各5時間、計10時間にも及ぶ対局が静かに幕を開けた。
張九段は現在6戦全勝。2位の芝野虎丸七段(4勝2敗)に星二つの差をつけており、残り2局のうち一つ勝てば名人挑戦が決まる。9年前、当時名人だった張九段が井山名人に敗れ、タイトルを明け渡して以来、遠ざかっていたリベンジのチャンスだ。
張九段は2009年、七大タイトル戦史上初の五冠を達成。後に七冠を独占する井山名人に記録を破られるまでタイトル同時獲得の最多記録だった。しかし、同年秋の名人戦から井山名人に次々にタイトルを奪われ、無冠に。今回挑戦者になれば、名人戦の挑戦手合出場は名人失冠以来9年ぶり、七大タイトル戦全体でも5年ぶりとなる。
一方、2位の芝野七段の対局も張九段の対局と同じ午前10時、河野臨(りん)九段を相手に始まった。芝野七段が挑戦するには、残る2局の勝利が絶対条件。そのうえで張九段が連敗して、初めて6勝2敗で並び、プレーオフに持ちこめる。
張九段に対する黄八段、芝野七段に対する河野九段とも、リーグ残留のためには負けられない状況で、いずれも必勝の念で激突した。
朝日新聞デジタルはこの2局をライブ中継し、午後4時からは張九段の対局を平田智也七段が解説。ほかに朝日新聞記者の現場報告「突撃リポート」など、すべて完全無料で公開する。(大出公二)