大手メーカーで品質データの改ざんが相次いで発覚したのに続き、工業製品の品質や企業の品質管理をチェックする「番人」である認証機関でも、不十分な審査で企業に「お墨付き」を与える不正が明るみに出た。製造業の品質不正は底なしの様相で、国際的に高い評価を得てきた日本のものづくりへの信頼が揺らぎかねない事態に発展した。
JIS認証機関が無資格・手抜き審査 英大手の日本支店
英国の大手認証機関「ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA)」の不正は、製品やサービスの品質を維持・向上させるための組織の仕組みや手順(品質マネジメントシステム)を定める規格の審査で見つかった。国際規格ISOの中でも「品質保証のモデル規格」として広く普及する「ISO9001」をもとにした規格だ。
JISやISOには、企業の製品やサービスが満足できる水準にあると第三者がお墨付きを与えることで、国内外の取引先がその水準を確認する手間やコストを省き、取引を円滑にする狙いがある。国内外で企業の製品やサービスへの信用を高めることで、最終製品を利用する消費者が、安心して製品やサービスの提供を受けられる効果も期待できる。こうしたメリットは公正な審査が前提になっていることは言うまでもない。
国内では昨年以降、神戸製鋼所や三菱マテリアルなど日本の製造業を代表する大企業で品質データを偽る不正が次々と発覚。両社などがJIS認証取り消しの処分を受け、規格の信頼性に傷がついた。さらに企業にお墨付きを与える認証機関のずさんな審査が発覚したことで、認証制度自体が疑念を持たれかねない。
「(今回の不正を放置すれば)認証を受けて商売に活用しているメーカー、特に中小企業にとって大きなダメージになる。きちんと処分すべきだと考えた」。LRQAの不正を調べ、処分を決めた公益財団法人「日本適合性認定協会(JAB)」の関係者は朝日新聞の取材にこう明かした。
企業活動のグローバル化が進む…