「手を合わせて……いただきます!」
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羽黒(山形)の食事係の伊藤塁君(3年)の号令に続き、選手らが「いただきます」と声を合わせて5分。浅石幹(もとき)選手(2年)が席を立った。空になった茶わんを手に、保温ジャーを開けると、ご飯を山盛りに。ほかの選手たちも次々と動き出し、ジャーの前には行列ができた。
伊藤君は昨春、食事係に就いた。合宿や寮で、選手らが食事をきちんととっているか、目を光らせる。「食事をしっかりとることでパワーや持久力がつく。体が大きくなったことで打球の質がよくなった」と言う。山形大会で計8本塁打を放った長打力の源だ。
チームが大阪に到着した7月30日の夜、ホテルが用意したご飯は6升分。「1人あたり丼3杯」との計算だったが、急きょ別の厨房(ちゅうぼう)からご飯が追加された。
今、つきっきりなのは篠田怜汰投手(2年)だ。178センチ、70キロで、チームの中では食が細い方。毎日、山盛りのご飯を懸命に食べている。
「次のチームを支えるのは篠田。この体であの球が投げられるんだから、成長すればもっと上が目指せるはず」。そう言って、伊藤君はにっこり笑った。(青山絵美)