(12日、高校野球山形大会)
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米沢市営野球場での始球式。野球部の練習着を着た小国のマネジャー、工藤奈緒香さん(3年)の投げたボールはノーバウンドで捕手のミットに届いた。スタンドから拍手が送られた。
小国唯一の野球部員。野球をしていた3歳上の兄の影響で、高校では野球部のマネジャーをやろうと、地元の小国に進学した。
小国は昨夏、米沢東との連合チームで出場。工藤さんも記録員としてベンチに入った。初戦で敗れたが、先輩たちが笑顔でプレーしている姿に感動した。
3年生が引退し、部員は工藤さんだけに。「やめようかな」と思った時期もあった。部室のホワイトボードに記された「あと1日」。昨夏の開幕日以降、更新されていない。「あの夏は楽しかったな」。思い出して涙がこぼれたこともあった。
工藤さんは今、部室や備品の掃除をし、部活ノートに練習メニューなどを書きためる。「卒業後に新入部員が来たら、すぐに活動を再開できるように」。そんな思いからだ。
今月初め、県高野連から顧問の教諭を通じて始球式の打診された。「やりたいです」と即答した。
マウンドに立つのは初めて。友人とのキャッチボールで準備し、この日に臨んだ。工藤さんは「ドキドキしました。選手はいつもこんな気持ちでいるんだなと思いました」と話した。(西田理人、石井力)