老後の生活費が2千万円不足するとした金融庁の審議会報告書をめぐり、安倍政権が責任回避に躍起だ。「政府のスタンスと違う」として受け取りを拒否し、参院選を前に早期の幕引きを図る。だが、資産形成を促す報告書の趣旨は、「貯蓄から投資へ」を掲げる政権の政策と合致している。
14日の衆院財務金融委員会。報告書問題の矢面に立ったのは金融庁の三井秀範・企画市場局長だった。
内閣府副大臣(金融担当)を務めた自民党の越智隆雄氏は「多くの方に不安な気持ちを抱かせた。誰に責任があるのか」と追及。三井氏は「事務局たる金融庁の対応が配慮を極めて欠いたものであると深く反省している。審議会の場において、誤解や不安を生じさせないよう丁寧に議論をするよう改善していく」と述べ、頭を下げた。
金融庁の全面謝罪を受け、麻生太郎財務相兼金融相は「不適切な表現があったのは事実。受け取らないということになるので、政策遂行の資料に今後なることはない」と改めて表明。「誤解や不安を生じさせないように、金融庁を指導する」と強調した。参院選への影響を避けるため、責任を金融庁に転嫁する安倍政権の姿勢がうかがえる。
しかし、今回の報告書は老後の資産形成を促すもので、政権の経済政策の流れに沿っている。
2018年6月に政権がまとめ…