家庭の貧しさから九州大進学をあきらめ、会社を興して財をなし、九大に5億円余を寄付した福岡市の中本博雄さん(80)が、福岡県飯塚市の総合せき損センターに1億円を寄付し、17日に感謝状を贈られた。
貧しくて諦めた九大に5億円寄付 独学で特許得た80歳
(ひと)中本博雄さん 貧しくてあきらめた九大に5億円を寄付した
妻の稔恵(としえ)さん(74)と共に訪れ、前田健・院長代理から感謝状を受け取った。稔恵さんは10年来、腰の痛みに悩み、他の医院で2度手術しても治らなかったが、3年前に同センターで手術を受けて改善した。
中本さんは「医師の技術が素晴らしく、車いすで働く職員の姿にも感激した。何らかの役に立ててほしい」と述べた。稔恵さんの主治医は九大出身だった。前田代理は「志を受けとめ、患者様のために何ができるか考えたい」と話した。
中本さんは九大進学をあきらめた後、独学で複写装置の特許を取り、製図や印刷の会社を興した。九大へ5月に奨学金として5億円余を寄付したほか、自身が脳梗塞(こうそく)で治療を受けた国立病院機構九州医療センター(福岡市)にも、救急救命センター再整備費などとして3月と6月に計2億円を寄付した。その際の主治医も九大出身だったという。(渡辺純子)